|
フッ素結晶雲母は天然雲母とテフロンとの違い
フッ素結晶雲母はプラチナ坩堝で1500℃高温状態で結晶させたものです。化学式は
KMg3(AlSi3O10)F2
で、F-
が(OH)-
の代わりに水酸基になっていますから、(OH)-
が含まれていません。天然雲母は同じ珪酸塩類に属していますが、工業用としては金雲母と白雲母がよく使われています。理想化学式は
KAl2(AlSi3O10)(OH)2
と
KMg3(AlSi3O10)(OH)2
です。テフロンの化学式は（CF2-CF2）nです。
１、電気性能：
フッ素結晶雲母は雑質が少ないから、体積抵抗率は天然雲母の1000倍になり、1100℃という高温の環境でも安全性が高いです。天然雲母は雑質が多くで電気性能が不安定です。高温、高周波の環境で500℃以上になると脱水し始め、雲母の特性がなくなります。テフロンは金属雑質が多いから高圧絶縁材料にはなりません。
 
フッ素結晶雲母の厚さと耐電圧との関係曲線
フッ素結晶雲母誘電損失は温度、周波数との関係
２、真空放気性能：
フッ素結晶雲母は真空放気量が低いです。質量スペクトルで測定すると、放出された微量気体はO2、N2、Arだけです。水蒸気を放出しないから真空絶縁材料としては絶好です。それで、真空部品の使用寿命も長くなりました。天然雲母は9000℃になると約フッ素結晶雲母の２０００倍以上の放気量になります。テフロンは温度の影響に左右されています。
高温状態でフッ素結晶雲母の真空放気量曲線
３、物理性能：
フッ素結晶雲母は変形しにくい、高圧力を耐えられます。テフロンは3MPaまで負荷すると変形し始め、20MPaになると破裂します。
４、耐熱性能：
フッ素結晶雲母は耐熱性が高い、1100℃の高温でも厚みはほとんど変わりません。溶解温度は1350±5℃です。天然雲母は(OH)-を含んでいるから200℃になると変色、脱落し始めます。溶解温度は900℃です。テフロンは変形しやすいから応用温度はー50℃～200℃の範囲に限られています。
 
フッ素結晶雲母の熱膨張曲線 フッ素結晶雲母の熱無重力曲線
５、光学性能：
フッ素結晶雲母の光軸角は約10°で雑質が少ないから紫外線も赤外線もよく通ります。天然雲母は紫外線がほとんど通れないです。テフロンは不透明で 放射線で照らすと脆くなります。
 
フッ素結晶雲母光透過率曲線 フッ素結晶雲母赤外線透過率曲線
６、耐腐食性：
フッ素結晶雲母は酸、アルカリ、水と化学反応にならないから、高温高圧水の環境の中で長時間に使われても透明度が変わりません。天然雲母は水と化学反応になるから、色がだんだん黄色になって、透明度が低くなります。テフロンはアルカリ金属に溶解しやすいです。
フッ素結晶雲母と天然雲母の耐火性の鑑別法
1、同じ厚さの天然雲母とフッ素結晶雲母に数分間に火を掛けてみると、天然雲母は完全に燃え切って、フッ素結晶雲母はほとんど変わりません。
2、天然雲母とフッ素結晶雲母をそれぞれ0.03mm～0.05mmの厚さにしてライターで焼くと天然雲母は灰色になって不透明になります。フッ素結晶雲母はまだ透明状態を保っています。
|
